梅毒というと、日本で初めて流行した江戸時代当時では、不治の病とされていました。
しかし戦後に「ペニシリン」という抗生物質が日本で使用されるようになってからは、梅毒での死亡率は著しく下がりました。
梅毒は、短い期間だけ薬を服用すれば治るといった病気ではありません。医師による経過観察の下、長い治療期間を経て完治に向かう病気です。
梅毒の症状
梅毒は感染後の症状の進行具合によって梅毒は4期に分けられています。
感染初期の第1期では2~4週間、バラ疹などの特徴的な症状が現れる第2期では4~8週間、現在ではあまり見られなくなった第3期以降では8~12週間の抗生物質の服用が定められています。
抗生物質の服用を開始するとJarisch-herxheimer(ジャーリッシュ・へルクスマイヤー)現象と呼ばれる反応が起こることがあります。39度前後の発熱や全身倦怠感のほかに悪寒、頭痛、筋肉痛、発疹の一時的な増加といった症状が見られるようになりますが、これらは服用している抗生物質の副作用ではなく、体内に侵入しているT.p.の破壊によって引き起こされる現象です。このJarisch-herxheimer現象は第2期の患者が治療を開始した場合約50%の確率で起こるとの報告もあります。
インターネット上には梅毒に感染すると、完治することはないという情報が溢れています。
梅毒が完治しないといわれる原因は、検査の特長によるものだと思われます。
梅毒の検査では血清の抗体を調べますが、梅毒トレポネーマに対抗する抗体は、治療が完了した後も長期にわたり陽性を示すことが多いのです。
そのため、治療をしたにも関わらず血清検査で陽性を示してしまい、梅毒は完治しないと誤解されているのです。
梅毒に感染した場合、多くの人は第2期までには自覚症状に気付きます。(症状の出ない無症候感染者もいます。)
そこで検査なり治療を受けることになりますが、早期に適切な治療を行えば梅毒は完治します。
しかし、中には自覚症状が出ているのに放置したまま病院に行かず、第3期まで進行してしまうことがありますが、これはとても危険な状態です。
また、梅毒とHIVを重複感染した場合、通常よりも早いスピードで第3期まで症状が進行することがあります。
梅毒を完治させるためには早期発見、早期治療が重要なことは間違いありません。
また、HIVやクラミジアなどの性感染症と同じく、症状の有無に関わらず検査を受けてみないと感染しているかどうかは分かりません。
そして検査は出来るだけ早期に受ける方が、万一陽性だった場合の治療には絶対有利です。
実際は、早期に適切な治療を行うことで梅毒を完治することができます。
ただし、検査結果の判定は他の検査を併用して行うものなので、医師の判断を仰がなくてはなりませんし、治癒を確認するためには、繰り返し検査を行わなくてはなりません。
個人では治癒を確認することができないので、梅毒の感染の可能性がある場合は医療機関を必ず受診しましょう。
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